足る事を知る

 

 

      今日突然身体の自由を奪われることになったら

 

     余命宣告をされて最期が見えてしまったら      

 

          今日限りで人生が終わるとしたら

 

 

 

 

 

皆さんは何を考えるでしょう。

 

いきなり重たいテーマではありますが、考えてみてください。

 

 

 

 

辛いと思います。今まで不自由なく行っていたことが出来なくなり、目指していた目標を断たれ、頑張りたくても頑張ることさえできない状況が、、、、、、

 

 

 

 

 

 

辛くて死をも考えると思います。生き地獄とも感じるかもしれません。

 

 

しかし、そんな逆境の中でも泥をすすって這いあがってきた人がいます。

 

 

 

その人は、元体育教師。

 

身体を動かすことが大好きで、常に自身を追い込み、強くなろうとしていました。

 

ロッククライミングや登山等、常に死と隣り合わせの状況に自信を追い込むことで、強くなろうとしていたのです。

 

 

 

大学卒業後、公立中学の体育教師として赴任し、器械体操部の顧問に就任。

 

生徒からも好かれ、先生からも一目置かれる存在でした。いつも元気で生徒を引っ張っていく、そんな先生でした。

 

 

 

 

 

しかし、ある日を境に今まで当たり前にあった日常は、遠くへ行ってしまうのです。

 

 

その日はいつも通りに器械体操部の練習場所へ出向き、生徒と一緒にウォーミングアップをしました。

 

そして、いつも通りの練習を開始するはずだったのです。

 

いつも通り駆け足をし、ジャンプ台へ突入。

 

華麗にジャンプ・宙返りを決め、着地、、、、、、、、、、、、、、、、するはでした。

 

気がついたら天井が見え、周囲にはざわめきが広がっていました。

 

 

f:id:mikutan552:20180124025544j:plain

 

 

 

 

 

何とその時頭部から落下し、頚椎を損傷してしまったのです。

 

 

【診断名 : 四肢完全麻痺、胸骨上縁以下の知覚障害】

 

 

 

その後、首から下が完全麻痺した状態から懸命のリハビリを経て、口でペンをくわえた状態で字を書いたり、筆をくわえて絵を描くようになります。

 

そして、今では海外でも個展を開く程の画家となって第二の人生を歩んでいます。

 

 

 

 

その画家とは 星野富弘    さんです。

 

☟☟星野富弘さん☟☟

 

f:id:mikutan552:20180124030457j:plain

 

 

 

星野さんは、花の絵に詩を載せる ”詩画” のスタイルをとった作品を制作されています。

 

 

そして今では、故郷 群馬県みどり市に 富弘美術館 をオープンし、常設された作品のほか、シーズンに合わせた作品展も行われます。

 

☟☟富弘美術館☟☟

 

f:id:mikutan552:20180124031409j:plain

f:id:mikutan552:20180124031428j:plain

 

 

 

ではこの後、私と星野さんの作品との出会いについて書いて行きます。

 

 

 

 

 

 

~~星野富弘さんの作品との出会い~~

 

 

 

私が初めて星野富弘という人物を知ったのは小学生の時。

 

私の住んでいた地域では、長期休暇前になると必ずと言っていいほど富弘美術館のリーフレットの配布が学校でありました。帰りの会になると、学校からのお知らせや学級通信等の配布物と一緒にリーフレットも配布されたのです。

 

 

 

しかしその当時は小学生だったということもあり、星野さんの画家になった背景は若干知ってはいましたが、作品に関してはまだ興味を持ちませんでした。毎回休みの時になるとリーフレット配られる画家の人、という程度の認識だったのです。

 

 

そんな私でしたが、ある事をきっかけに星野さんという人物に興味を持ちます。

 

 

それは、私が高校1年生の時、脳腫瘍を患った事です。

 

幸い余命宣告されるほどのものではありませんでしたが、高校1年生だった私にはとても受け入れる事の出来ない現実だったのです。

 

今でも当時の恐怖感を鮮明に覚えています。 今まで遠い存在でしかなかった脳腫瘍がまさか自身の身に降りかかってくるとは想像もしていませんでした。

 

もう学校にいけないかもしれない、来年まで生きられないかもしれない、まだやりたいことがあるのに、、、、

 

 

こんな思いが錯綜し、混乱し、将来を考える事さえも嫌になりました。

 

 

 

そんな中治療の為訪れた病院には、やっと書いた字 (あいうえお等)や模様が描かれているスペースがありました。

 

初めて見た時の衝撃はいまでも忘れていません。衝撃というよりも、カルチャーショックのようなものでした。

 

 

実はその文字を書いた人物が今回紹介する、星野富弘さんだったのです。名前と写真を見た瞬間、私の幼い頃の記憶が蘇りました。

 

” いつもリーフレット配られてた星野富弘さんだ!! ”

 

とパッと気が付いたのです。

 

 

いつも作品の字しか見ていなかった為、練習し始めの頃の字との差に驚くとともに、この星野富弘さんという人をもっと知ってみたい、、、、、、、、、そう思ったのです。

 

 

これが私と星野富弘さんとの出会いです。

 

 

 

 

 

~~腫瘍の進行と症状の悪化~~

 

そうして私は高校2年生となりました。

 

普段、この腫瘍の影響で意識障害が出てしまい、学校の授業についていけなくなってあいました。また、かかりつけの病院の外来受診の曜日・時間帯と週1コマしかない授業が重なり、余計状況が悪化していました。

 

 

この発作が起こるとき、私には前兆が全くなく、気がついたら意識は戻っていて発作が起きたことすらも人から言われない限り認識していないのです。

 

そのため、突然意識がなくなったことに周囲も初めは混乱し、私自身も学校に登校しずらいなと思ったのを覚えています。

 

” 学校来られるとぶっちゃけ迷惑なんだよね ” 

 

とか、

 

” どうせかまってほしいんでしょ? ” 

 

というような心ない言葉をかけられたり、自分でも意図しない発作にいら立ちを覚えると共に、自己嫌悪に陥ってしまいました。

 

また高校2年生で修学旅行の話も大詰めになる時期です。このままだと修学旅行に自分だけ行けないのでは? と不安に煽られたりもしました。

 

この時期は治療計画の具体化の一環として、手術の時期を決めた頃でもあります。やはりネックになったのは、この修学旅行の問題でした。

 

術前に行って行った先で大きな発作が起きたらどうする?という意見と、手術を先にしたら回復が修学旅行までに間に合うか保証がない!  という2者に分かれてしまいます。

 

結局は修学旅行が終了し、年度末の期末テストが終ったら即入院し、手術をすることとなりました。

 

 

 

そして修学旅行直近1か月なった頃、私の症状は日に日に悪化し、日常生活を送るのもままならない位重たい発作が1日に10回以上起こってしまうようになったのです。もうこの頃は修学旅行自体あきらめていましたし、だめになった時に修学旅行積立金を払ってくれた母になんて言えば良いだろうかと悩みは深まるばかりでした。

 

そんな不安を抱えたまま、修学旅行当日となります。

 

看護師が帯同する事を条件に許可が下りましたが、とても旅行を楽しむ余裕がなかったのを今でも覚えています。

 

旅行前の授業でも私の事は学年全体へ引き継ぎをされ、発作が起きた時の対処法をレクチャーするということまでして、やっと修学旅行へ参加できる状態でした。

 

そして結局修学旅行中は1度も発作が出る事はなく、その後入院となったのです。

 

 

 

 

 

~~恐怖の中の手術・初めて見た星野富弘さんの作品~~

 

 

脳腫瘍の手術には大変なリスクが伴います。手術にあたっても先生からされる話の9割はリスクについてです。

 

そんな手術を控え、術前検査が始まります。術前の1週間を使って、脳波測定・MRI・PET・CT・採血・カテーテル検査・輸血用の血液採取等、やることだらけです。

 

脳外科の患者さんのほとんどは高齢者の方で、会話もまともにできずにうめき声をあげている患者さんも多くみられました。どれもこれも初めて見る光景だったため、自身がそうなるリスクもはらんでいる手術なのだと再認識した瞬間でした。

 

そしていよいよ手術。これを乗り越えれば楽になるという期待と、先生から言われたリスクに対する恐怖が交錯する中、手術室へ入りました。

 

手術台に寝転んで麻酔を手首から注射されるところまでは記憶があるのですが、眠くなる感覚もなくいつの間にか意識が無くなっていました。

 

その後10時間程で手術は無事に成功。腫瘍自体はきれいに取れたので手術は成功したのですが、本当の苦しみはここからでした。

 

 

 

まず、とにかく頭が痛い。これは頭蓋骨を開けている為骨が動く事が原因です。顔を動かそうとして頭が痛くなるのは当然ですが、静かにしていても頭はものすごく痛いのです。内側から鈍器で殴打されているかのような感覚でした。

 

 

このようにデフォルトで常に痛みが発生している中で、副次的な痛みも発生します。まず第一に、あまりの頭痛からくる吐き気に伴う副次的な頭痛です。

 

皆さんも気持ちが悪くなって吐き気を催すことは経験済かと思いますが、実はこの時お腹に圧がかかり、その後その腹圧が脳圧を高めていたのです。そして、この脳圧の高まりが内側から頭蓋骨を外へ押す形となり、激痛が走るのです。

 

痛くて痛くて仕方がないのですが、麻酔を気管支に入れていいた影響で全くと言っていいほど声が出ません。かといって、首を動かすとそれに伴い頭が揺れるため、全く意思表示ができないという悪循環になります。

 

 

このように出すときりがないくらい痛みはこのほかにも多く発生していました。体位を自分で変える事も出来ない為、人の介助が不可欠です。

 

正直、この時期は ” この痛みにさらされるくらいなら殺してほしい ”  と思ってしまう程追い込まれていました。

 

 

そして食事の時間。食事が出てきただけで、吐き気と嫌悪感を感じます。こういう時は本来美味しそうに感じる香りがたまらなく嫌なのです。

 

これは、手術経験者の方や妊娠・出産経験者の方ならお分かりいただけると思います。

 

頑張って食べようとしても、体が拒絶反応を起こしてしまうのです。結局私は食事を一口入れられるようになるまで1週間近くかかりました。一見するとすぐ回復したように見えますが、当事者にとってはこの1週間が1年くらいに感じてしまうものです。地獄を何回も味わったと言っても過言ではありません。

 

 

 

 

そうしてやっと食事がとれるようになった頃、リハビリが開始されました。この頃になると手術直後に比べてだいぶ体調や体力の回復は見込まれてきました。

 

その頃は近親者の付き添いがあれば病棟の外へ出る事が可能になり、院内のカフェテリアへ母と行くようになりました。外来で通っていた頃はそのカフェテリアをまともに利用した事がありませんでしたし、そもそも何で病院にカフェテリアを作っているかの本当の意味を分かっていませんでした。

 

入院患者にとってはカフェテリアはオアシスであり、一時外泊をした時のような気分になれるのです。入院患者にとっての希望でもあるのです。

 

 

そんな中そのカフェテリアの一角にあった星野富弘さんの作品展示スペースに初めて入りました。

 

” この人有名だから、どんな作品作るんだろうね~ ” と話しながら入って行ったのを覚えています。

 

そんな軽い感じで入って行ったのですが、そこに展示してあった作品は私の心に大きく響いたのです。

 

 

その中の何作品かを紹介したいと思います。作品そのものは著作権の関係でこちらに掲載はできませんが、画集が販売されていますのでこちらを参照ください。

 

 

 

星野富弘詩画集 ありがとう私のいのち
 

 

 

   

 

 

星野さんの作品はどれも良いものばかりですが、特に私が好きな作品を何点か紹介したいと思います✨

 

 

 

『はなしょうぶ』

 

f:id:mikutan552:20180124045740p:plain

 

 

この作品は、泥水の中に咲くきれいな花菖蒲を心に例えて、愛の中にいてもそれに気づかないこと、きれいな愛という水を頂いているにもかかわらず醜い事ばかりを考えてしまう人間への問題提起をした作品といえます。

 

この慌しい世の中で生きていると、どうしても小さなことへの感謝を忘れがちになってしまいますよね?

 

私もこの作品で改めて、自分がどれだけ恵まれているのかを考えさせられました。

 

どんな泥水の中にもきれいな花を咲かせてくれる愛がきちんとあるということを忘れないで行きたいですね(^▽^)/

 

 

 

 

 『つばき』

 

f:id:mikutan552:20180124221843j:plain

 

 

この作品は、自分で動き回ることのできない木に、四肢が不自由な自分を投影した作品です。

 

病室から見る木が与えられた場所で精いっぱい成長する姿を見て、星野さんは勇気をもらったのですね。

 

私たちは普段何不自由なく歩き回り、自分の生きたいところへ行く事が出来ます。それ故に現状に不安や不満を抱き、もっと良いところがあるはずだと考えてしまうのだと思います。

 

私も今の自分の置かれた状況に自信が持てず、このままで良いのだろうかと考えてしまうことがあります。そんなとき、「もう少しここで頑張ってみよう」「せっかく与えられた場所なんだから、もう少し」と思うきっかけをくれるのがこの作品なんです。

 

後に後悔しないよう、今置かれた環境をもっと大切に生きる事が重要なんだと私はこの作品から学びました。

 

 

 

 

『むぎのほ』

 

f:id:mikutan552:20180124223139j:plain

 

 

これは人生の足し算について語られた作品です。

 

0はいくつ足しても0にしかなりませんが、0.1でも前に進めたのであればそれはいつか1となり、100となることが出来るとこの作品の中で星野さんは言いたかったのです。

 

普段お仕事でもノルマに追われている方が多いように思います。特に若手のうちは、大きな成果が出せない事に上司から叱責を受け、自己嫌悪に陥ることで仕事自体にやりがいを全く感じなくなる、という悪循環になりやすいです。

 

 

今回お仕事に例えて言いましたが、それ以外でも普段生活していて何も進まなかった、何も収穫せずに終わったと、一日の終わりを振り返って憂鬱になることはありませんか?

 

そんな時は、ご自身で0.1でも前に進めた事を見つけて褒めてあげてください。なにも自己嫌悪に陥る必要は全くありません。

 

その0.1が後の大きな成果につながる第一歩なのですから。

 

 

 

 

 

 

~~最後に~~

 

人生生きていると、良い事ばかりではありませんね。

 

しかし、そこにばかり目を向けると、自分がどれだけの愛を頂いて生きているかが見えなくなってしまいます。

 

愛が当たり前になってしまう程恐ろしいことはありません。常に新鮮な気持ちで頂いた愛に感謝し、クリエイティブな毎日を生きて行きたいですね。

 

 

私は星野さん作品を通して、足る事を知る大切さに改めて気が付きました。星野さんのおかげで今があると言っても過言ではありません。

 

 

もしご自身で悩みを抱えているのであれば、一度星野さんの作品を見てください。何か気づく事が、何か収穫があるかもしれません。

 

 

多くの人が当たり前に感謝できる世の中になりますように。

 

 

 

 

 

☟☟富弘美術館 基本データ☟☟

 

開館時間

 午前9時~午後5時 (入館は午後4時30分まで)
 4月~11月末日までは無休

休館日 

 12月~3月までの月曜日
 月曜日が祝日の場合は火曜日
 12月26日~1月4日
 展示替えのため臨時休館することがあります

入館料

 大人 500円 小中学生 300円
 幼児 無料  団体(20人以上)は2割引
 障害者手帳をお持ちの方:5割引
 介護の方1名:5割引
 (なお、二重割引はいたしておりませんのでご了承下さい)
 ※特別展の場合は特別料金となることがあります。
 ※館内での写真撮影、喫煙、飲食(カフェを除く)、携帯電話の使用はできません。
 ☆20名様以上の団体の方には事前に電話等でご連絡ください。

連絡先

住所  〒376-0302 群馬県みどり市東町草木86
電話  0277-95-6333
ファクス 0277-95-6100

富弘美術館 外観写真
 (みどり市公式HPより引用)